2024年11月、人気バンド「サカナクション」のボーカル、山口一郎さんが自身のSNSで「群発性頭痛」を患っていることを公表しました。
この発表は多くのファンを驚かせると同時に、この病気についての認識を広めるきっかけとなりました。
僕はずっと群発性頭痛に悩まされてきた。この頭痛は、周期的にとんでもない痛みが一定期間続くという地獄のような病だ。目の裏を小人が針で突っついてくるような猛烈な痛み。初めてあの恐ろしいほどの頭痛に襲われたのは小学校の頃。グラウンドで鬼ごっこをしていた時だ。全速力で鬼から逃げ切ったあと、右目の奥が心拍数の上がった心臓の鼓動と同調するようにズキンズキンと痛みだし、(一部抜粋)
山口一郎(インスタグラム)
https://www.instagram.com/p/DCopitzyV3o/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==
この記事では、群発性頭痛とは何か、その症状や治療法、山口さんの発言がもたらした影響について深掘りしていきます。
病気を経験してない私たちに、その苦しみの全てを理解するのは困難です。この病気は「痛み」という点では筆舌に尽くしがたい激しさがあり、ファンとしても、作詞作曲という産みの苦しみ、メンタル上の不安などに加え、このような試練を山口一郎に与えているのかと、なんともいえない気持ちになります。
まずはこの機会に、この病気について皆さんと学びたく、情報を共有させてください。
群発性頭痛とは?
群発性頭痛は、頭痛の中でも非常に稀で、かつ激しい痛みを伴う病気です。一般的な頭痛(緊張型頭痛や片頭痛)とは異なり、特定の期間に集中的に起こることから「群発性」という名前がつけられています。以下に詳しく解説します。
特徴的な症状
- 片側の目の奥が非常に強く痛む
- 痛みが突然始まり、通常15分から3時間続く
- 1日に1回から数回発生する
- 発作が数週間から数か月続き、その後はしばらく(数か月から数年)痛みがなくなる
その他の症状
- 目の充血や涙
- 鼻詰まりや鼻水
- 瞼が垂れる
- 発作中にじっとしていられないほどの苦痛
発症率とリスク
群発性頭痛は成人男性に多く見られますが、女性や若年層でも発症することがあります。人口の約0.1%がこの病気を持つとされ、日本でも患者数は数万人規模と推定されています。
https://zutsu-online.jp/comic/vol10.shtml (出典:頭痛オンライン)
原因と誘因
群発性頭痛の明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、脳の視床下部(体内時計の調整を行う部位)が関与していると考えられています。
主な誘因
- アルコール摂取
- 喫煙
- 睡眠不足や生活リズムの乱れ
- 高度なストレス
発作が発生する期間中(群発期)は、アルコールが強力な誘発因子となるため、多くの患者は飲酒を控えています。
ライフスタイルの改善
規則正しい生活やアルコール・喫煙を避けることが推奨されます。ストレス管理も重要です。
山口一郎さんのカミングアウトとその意義
山口一郎さんは、自身が群発性頭痛を抱えていることを公表し、その辛さや向き合い方を語りました。彼のカミングアウトは、以下のようなポジティブな影響をもたらしました。
1. 認知度の向上
群発性頭痛はまだ知名度が低く、多くの人が「ただの頭痛」と誤解しています。山口さんの発言によって、多くの人がこの病気の存在や苦しみを知るきっかけとなりました。
2. 患者への勇気
「自分だけではない」と感じることで、多くの患者が安心感を得られたことでしょう。また、山口さんのような成功者がこの病気と向き合っている姿は、患者にとって大きな励みとなります。
3. 医療従事者へのアピール
有名人の発信によって、医療現場でもこの病気への注目が高まり、診断や治療が進む可能性があります。
群発性頭痛とともに生きる
群発性頭痛は、日常生活に大きな影響を与える病気ですが、適切な治療とサポートがあれば乗り越えることができます。山口一郎さんのカミングアウトをきっかけに、患者が孤独を感じずにサポートを得られる社会を作ることが重要です。
周囲の理解が鍵
患者に対する理解と共感が、群発性頭痛との闘いを助けます。例えば、発作が起きた際に静かな環境を提供したり、無理をしないよう促したりすることが効果的です。
患者会や支援団体
群発性頭痛に関する支援団体やオンラインコミュニティでは、患者同士が情報交換や励まし合いを行っています。こうした場を活用することで、孤独感を軽減し、治療のヒントを得ることができます。
欠かせない薬、イミグラン
イミグラン(一般名:スマトリプタン)は、群発頭痛や片頭痛の治療に使われる薬で、トリプタン系と呼ばれる薬の一種です。この薬は、セロトニン受容体に作用して、脳内の血管の拡張を収縮させ、痛みを緩和する働きがあります。
イミグランの主な特徴
- 適応症
- 群発頭痛
- 片頭痛(特に発作が始まった直後に効果を発揮)
- 剤形
イミグランは以下の形態で処方されます:- 注射剤(皮下注射):速効性があり、群発頭痛に特に適しています。
- 経口剤(錠剤):片頭痛の発作に使用されることが多い。
- 点鼻薬:鼻から吸入して使用するタイプ。注射を避けたい場合や、吐き気が強くて錠剤が飲めない場合に利用されます。
出荷停止の状況
2024年11月現在、イミグラン(スマトリプタン)の一部製品が出荷停止となった理由は、製造過程の検査工程に不備が見つかったためです。具体的には、製造所での目視検査工程に問題があり、品質確認が完全ではなかったことが発覚しました。このため、予防措置として出荷を停止し、影響が確認されるまで供給が中断されています。現時点で製品の品質自体には問題がないとされていますが、国内在庫が限られており、供給再開の目処は立っていません。
2024年4月22日
— DSJP info.(DSJP登録情報) (@DSJP_info) April 23, 2024
グラクソ・スミスクライン
「イミグラン点鼻液 20」の現在の状況につきましてhttps://t.co/zlJ8RgheHu pic.twitter.com/Ky8zj2lwUs
なお、イミグラン錠や皮下注射製品については限定的に出荷が続けられているものの、供給が通常よりも厳しく管理されています。供給再開の情報が入り次第、メーカーから改めて案内が出る予定です。
詳細については、グラクソ・スミスクラインの公式発表や医療機関からの通知をご確認ください。
また、医師に相談し、代替治療や薬剤について検討することをお勧めします。
まとめ
山口一郎さんの公表によって、群発性頭痛が多くの人に知られるようになり、患者への理解が深まることが期待されています。
この病気は決して「普通の頭痛」ではなく、患者の生活に深刻な影響を及ぼすものです。しかし、適切な治療法や周囲のサポートがあれば、より良い生活を送ることが可能です。
山口さんのように、困難に直面しながらも前向きに生きる姿勢は、多くの人に希望を与えるでしょう。
彼の活動を通じて、病気の認知度がさらに広がり、より多くの人が適切な支援を受けられる社会になることを願っています。