木の年輪は何を教えてくれるのか?

ニュース

砂漠に雨がほとんど降らない理由とは?そのメカニズムを徹底解説

広告

砂漠と聞くと、広がる砂地、照りつける太陽、乾いた空気といった風景が思い浮かびます。この過酷な環境の象徴ともいえるのが、雨がほとんど降らないという点です。しかし、なぜ砂漠では雨がほとんど降らないのでしょうか?この疑問を解明するために、地球の気候システムや砂漠の特性を探っていきましょう。


1. 砂漠とはどのような場所か?

まず、砂漠の定義を確認しておきましょう。砂漠は、降水量が非常に少なく、年間降水量が250mm未満の地域を指します。ただし、砂漠は必ずしも砂に覆われているわけではなく、岩石や乾燥した土壌が広がる場所も含まれます。有名なサハラ砂漠やゴビ砂漠以外にも、南極やグリーンランドの氷雪砂漠も砂漠に分類されます。


2. 砂漠に雨が降らない理由

砂漠に雨がほとんど降らない理由は、地球の気候システムや地形、風の流れなど複数の要因が絡み合っています。それぞれの要因を詳しく見ていきましょう。


(1) 高圧帯の影響

地球の大気循環には、大きく3つのセル(ハドレーセル、フェレルセル、極セル)が存在します。この中でも、ハドレーセルが砂漠形成に大きな影響を与えています。

  • 赤道付近では、強い日差しによって空気が温められ、上昇気流が発生します。この上昇した空気はやがて冷えて水蒸気が凝結し、降雨をもたらします。降雨後、乾燥した空気は上空で北緯・南緯約30度付近に降りてきます。
  • この下降気流のエリアは「高圧帯」と呼ばれ、空気が地表に向かって押し下げられるため、雲ができにくく乾燥した気候になります。この高圧帯が、世界中の砂漠の多くが北緯・南緯30度付近に位置する理由です。

(2) 内陸部での位置と距離

砂漠の多くは大陸の内陸部に位置しています。この位置関係が降雨を阻む原因の一つです。

  • 海洋からの湿った空気は、陸地を進むにつれて湿気を失い、内陸部に到達する頃にはほとんど水分が残らないことがあります。これを「大陸性気候」の特徴といいます。
  • ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などの内陸砂漠は、この影響を強く受けています。

(3) 山脈による「雨陰効果」

山脈が近くにある場合、湿った空気が山にぶつかり、上昇して冷やされることで雨が降ります。しかし、山を越えた反対側のエリアでは、空気は乾燥してしまい、雨がほとんど降らなくなります。この現象を「雨陰効果」といいます。

  • 例として、アメリカのモハーヴェ砂漠は、シエラネバダ山脈の影響を受けています。太平洋からの湿った空気は山脈の西側で雨を降らせますが、東側の砂漠地帯には乾燥した空気だけが残ります。

(4) 寒流の影響

砂漠が海に面している場合でも、降水量が少ないことがあります。これは、海流の性質が関係しています。

  • 南米のアタカマ砂漠は、太平洋の寒流であるペルー海流の影響を受けています。この寒流は周囲の空気を冷やすため、空気中の水蒸気が凝結して地表に雨を降らせることがほとんどありません。
  • 代わりに、冷たい空気は地表で霧を発生させることがありますが、雨としての降水量には繋がりません。

(5) 地球規模の気候変動

砂漠の乾燥度合いには、地球規模の気候変動も関与しています。氷期や間氷期の周期的な変化によって、砂漠地帯の広がりや降水量が変動することがあります。


3. 砂漠の特徴と生態系

雨がほとんど降らない砂漠ですが、そこに生息する動植物たちは、この厳しい環境に適応しています。


(1) 砂漠の植物

砂漠では、植物の種類は限られていますが、乾燥に耐える驚くべき能力を持つ植物が存在します。

  • サボテンは、水を効率的に貯めるために肉厚の茎を発達させ、葉を棘に変えています。
  • 他の砂漠植物も、根を地中深くまで伸ばしたり、夜間にのみ呼吸を行う「CAM型光合成」を利用するなど、乾燥への適応を見せています。

(2) 砂漠の動物

動物たちもまた、極端な暑さと乾燥に耐えるための工夫をしています。

  • カンガルーネズミは、体内で水を合成することで、ほとんど水を飲まずに生活できます。
  • その他の動物も、昼間は地中で休み、夜に活動することで水分の蒸発を抑えています。

4. 雨が降らないことの影響

砂漠で雨がほとんど降らないことは、単に「乾燥した土地」を生むだけではありません。地球全体の気候や生態系にも影響を与えています。

  • 砂漠の高い反射率(アルベド)は、地球全体のエネルギーバランスに影響を及ぼします。
  • また、砂嵐が発生することで、遠く離れた地域にまで砂や塵が運ばれ、土壌や海洋生態系に影響を与えます。

5. 砂漠化と人類への影響

地球温暖化や人間活動の影響で、砂漠の拡大が懸念されています。砂漠化は、農地の減少や食糧危機を引き起こす可能性があり、国際的な課題となっています。


まとめ

砂漠で雨がほとんど降らない理由は、大気循環、高圧帯、地形、海流、気候変動といった複数の要因が絡み合っています。しかし、その乾燥した環境にも生物が適応し、独自の生態系を築いています。また、砂漠化が進む現代社会では、これらの環境変化を理解し、適切に対処することが求められています。

砂漠の成り立ちやその特性を知ることは、地球環境全体を理解する上で非常に重要です。砂漠を単なる不毛の地と見るのではなく、その背後にある自然の仕組みを知り、未来の環境保全に役立てていきたいものです。

広告

-ニュース

error: Content is protected !!