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山の高さはどのように測定されるのか?

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山の高さがどのようにして測られるのか、不思議に思ったことはありませんか?私たちが教科書や地図で目にする「富士山は3776メートル」や「エベレストは8848メートル」といった数字は、どのような方法で得られるのでしょうか?

これを理解するためには、地球の仕組みや測量技術について知る必要があります。この記事では、中学生にも分かりやすい言葉で山の高さの測定方法を説明します。


1. そもそも「高さ」とは何か?

(1) 基準となる「海抜(標高)」

山の高さを測るとき、基準となるのは「海抜(標高)」です。海抜とは、平均的な海面の高さ(平均海面)を基準にして測った高さのことです。

  • なぜ海抜を基準にするのか? 海は地球全体に広がっており、平均海面はどこでもほぼ一定です。そのため、どの場所でも共通の基準として使いやすいのです。
  • 平均海面はどう決めるの? 実際の海面は潮の満ち引きや風、気圧の影響で変動します。そのため、長期間の観測データをもとに平均値を算出して基準とします。

(2) 「高さ」をどう測る?

高さを測るには、地球の丸みや重力の影響も考慮する必要があります。地球は完全な球体ではなく、少し平らな楕円形をしているため、単純に測るだけでは正確な高さを求められません。この問題を解決するために、測量技術が発達してきました。


2. 山の高さを測る歴史

(1) 昔の測定方法

昔の人々は、山の高さを測るために簡単な道具を使っていました。

  • 三角測量 山の高さを直接測るのが難しい場合、三角形の性質を利用します。山のふもとから一定の距離離れた地点に立ち、山の頂上に向かって角度を測ります。このとき、三角形の一辺の長さ(基線)と角度が分かれば、三角比の計算を使って山の高さを求めることができます。
  • 気圧を利用する方法 高い場所では気圧が低くなるという特性を利用して、山の高さを測る方法もありました。気圧計を山頂とふもとで測定し、その差から高さを計算します。しかし、気圧は天候の影響も受けやすいため、正確性に欠けることがありました。

(2) 近代の技術

19世紀になると、より精密な道具や数学的な方法が使われるようになりました。この時代の代表的な測量技術が三角測量です。

  • 三角測量の発展 地図を作るための基本技術であり、山の高さを正確に測る方法としても活用されました。三角測量では、地上に複数の観測点を設置し、山を含む広範囲を網の目状に測量していきます。

3. 現代の測量技術

現在では、さらに精密な測量技術が発展し、山の高さを測る方法も進化しています。

(1) GPSを使った測量

GPS(全地球測位システム)は、人工衛星を利用して地球上のどこでも正確な位置情報を得られる技術です。

  • 仕組み 山頂にGPS受信機を設置し、複数の衛星からの信号を受信して位置を計算します。この方法では、山頂の標高を正確に測定できます。
  • メリット 山のようなアクセスが難しい場所でも測量が可能で、短時間で精密な結果が得られます。

(2) 衛星リモートセンシング

人工衛星が地球を周回しながら、山の高さを含む地形データを収集します。リモートセンシングでは、電波やレーザーを使って地形の詳細なデータを取得します。

  • レーザー測量(LiDAR) レーザーを地表に照射し、その反射を受信して距離を測ります。これにより、山頂やふもとの高さを高精度で計測できます。
  • 画像解析 衛星が撮影した画像データを解析し、地形の高さを推定します。

(3) 水準測量

水準測量は、精密な高さを測るための基本的な測量方法です。主に道路や建物の高さを測る際に使われますが、山の高さの基準点を決める際にも利用されます。

  • 原理 特殊な望遠鏡付きの測量器具を使い、基準点間の高さ差を順番に測っていきます。これにより、海抜からの正確な高さを求めることができます。

4. 山の高さを測る際の課題

(1) 地球の形状の影響

地球は楕円形をしているため、緯度によって「平均海面」の高さが異なります。そのため、山の高さを測るときには地球全体の形状を考慮する必要があります。

(2) プレート運動と山の成長

地球のプレート運動によって、山はわずかに成長したり沈んだりします。たとえば、エベレストの高さは数十年ごとに微妙に変化しており、測定結果も更新され続けています。

(3) 氷や雪の影響

山頂に厚い氷や雪が積もっている場合、それを含めるべきかどうかが議論されることがあります。例えば、雪解けや季節によって山頂の高さが変わる場合、正確な「地形としての高さ」を決めるのが難しいことがあります。


5. 具体例:エベレストの高さ測定

世界一高い山として知られるエベレスト(チョモランマ)は、これまでに何度も測定され、そのたびにわずかな差が生じています。

  • 過去の測定 初めてエベレストの高さが測られたのは19世紀で、そのときは8840メートルとされました。
  • 現代の測定 2020年には、中国とネパールが最新の技術を使い、エベレストの高さを「8848.86メートル」と発表しました。これはGPSや衛星測量、さらに水準測量を組み合わせた結果です。

6. 山の高さを測る意義

(1) 地図作成とナビゲーション

正確な山の高さを測ることで、地図やナビゲーションシステムが精度を増し、登山者や航空機の安全性が向上します。

(2) 地球科学の研究

山の高さを定期的に測定することで、プレート運動や地球の変化を観察することができます。

(3) 気象や環境の監視

山は気候や生態系に影響を与える重要な存在です。その高さを把握することで、自然環境の変化をより正確に予測できます。


まとめ

山の高さを測る方法は、古代から現代に至るまで進化してきました。三角測量や気圧計を使った方法から、GPSや衛星測量、リモートセンシングに至るまで、技術の進歩とともにその精度も向上しています。

私たちが何気なく目にする「山の高さ」の数字の背後には、科学者たちの努力と最新技術の結集があります。次に山を訪れるとき、その高さがどのように測られたのかを思い浮かべながら自然を楽しんでみてください!

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