氷河は動いてる?速度はどう計測されるの?

世界の大疑問 自然の疑問

氷河は動いてる?速度はどう計測されるの?

広告

氷河とは、雪が長い時間をかけて圧縮され、固まり、動きながら流れ出す巨大な氷の塊です。これらの氷河は、地球上で最も力強い自然の力の一つであり、山の中や極地に広がっています。そして、氷河の動きにはとても重要な情報が含まれており、それを調べることで地球の気候や環境の変化を理解する手がかりになります。特に、「氷河の速度」はその動きの速さを示すものであり、氷河がどのように動いているか、そしてどのように変化しているかを知るための重要なデータとなります。

本記事では、氷河の速度がどのように計測されるのか、その方法や技術について、できるだけ中学生にも分かるように解説します。


1. 氷河とは?

まず、氷河がどのようなものかを理解することが重要です。氷河は、寒冷地帯の山や極地で見られる氷の塊で、雪が長期間にわたって圧縮されて形成されます。時間が経つにつれて、積もった雪が圧力で固まり、氷となり、氷河はその重さによって下へと流れます。氷河の動きは、氷の塊がゆっくりと地形を削りながら進むことで、谷を作り、岩を削る力を持っています。

氷河はその名の通り、常に「動いている」存在です。これには速度があり、氷河がどれくらいの速さで動いているかは、氷河の研究者たちにとって非常に興味深い課題です。では、氷河の速度はどのように計測されるのでしょうか?


2. 氷河の動きと速度

氷河は単に滑るわけではなく、いくつかの異なる動き方をします。主に以下のような方法で動きます。

  • 滑る運動:氷河の底部が岩に接触している部分では、氷が滑りながら進んでいきます。この滑りによって氷河が移動します。
  • 塑性変形:氷の中で、圧力がかかることによって氷が少しずつ変形し、その形を変えながら動くこともあります。これを「塑性変形」といいます。
  • クレバスの形成:氷河の上部や側面で亀裂が入ることがあります。この亀裂が動くことで氷河が変形し、動きが加速することもあります。

これらの動きの結果として、氷河はゆっくりと移動します。その速度は、氷河の大きさや形、周囲の環境によって異なりますが、通常は1日に数センチメートルから数メートルの範囲で進みます。


3. 氷河の速度を計測する方法

氷河の速度を正確に測定することは、氷河がどのように動いているかを知るために重要です。氷河の動きの速さを計測する方法には、いくつかの技術が使われています。以下では、代表的な方法をいくつか紹介します。

3.1. マーカー法

マーカー法は、氷河の表面に目印を置き、その移動を追跡する方法です。氷河の表面に目立つマーカー(例えば、色のついたテープやペイント)を設置し、定期的にその位置を測定します。氷河が動くにつれて、マーカーも移動します。この移動距離を測定することで、氷河の速度を算出できます。

実際の手順:

  1. 氷河の表面に目立つマーカーをいくつか設置します。
  2. 定期的に、あるいは一定の時間ごとに、そのマーカーがどれだけ移動したかを測定します。
  3. 移動した距離と時間を使って、氷河の速度を計算します。

例えば、あるマーカーが1日に3メートル移動した場合、その氷河の速度は1日あたり3メートルとなります。この方法はシンプルで手軽にできるため、広く使われています。

3.2. GPS(グローバル・ポジショニング・システム)

最近では、GPS技術を使って氷河の速度を計測することが一般的になっています。GPS機器を使うことで、マーカー法と同様に氷河の移動を追跡できますが、GPSを使うことでより高精度な測定が可能です。氷河の表面にGPSを取り付け、その位置をリアルタイムで測定することで、氷河の動きの詳細なデータを得ることができます。

実際の手順:

  1. GPS機器を氷河の表面に設置します。
  2. GPSを使って、氷河の位置を定期的に測定します。
  3. 測定したデータを解析することで、氷河の速度を計算します。

GPSによる測定は、高精度であるため、氷河のわずかな動きも捉えることができます。これにより、氷河の動きの細かな変化を追跡することが可能となります。

3.3. 氷河のレーザー測定

もう一つの技術として、「レーザー測定」があります。これは、レーザー光を使って氷河の表面の高さや形を計測する方法です。氷河の表面を測定することで、氷河の動きによる変化を正確に捉えることができます。

レーザー測定では、LIDAR(ライダー)と呼ばれる装置を使用します。LIDARは、レーザー光を発射してその反射を受け取り、氷河の形や高さを非常に高精度で測定します。この技術は、氷河の動きだけでなく、氷河の形状の変化にも役立ちます。

実際の手順:

  1. LIDAR機器を使って氷河の表面の詳細なデータを取得します。
  2. 定期的に測定を行い、そのデータを比較します。
  3. 変化を分析することで、氷河の動きや速度を計算します。

4. 氷河の速度の変化とその影響

氷河の速度は常に一定ではなく、さまざまな要因によって変化します。例えば、気温の上昇や降水量の増加は、氷河の速度に大きな影響を与えます。氷河が温暖化することによって、氷が溶け、滑りやすくなることで速度が増すこともあります。

また、氷河の速度が速くなると、その動きによって周囲の地形が急激に変化します。これにより、氷河が削る岩や土が新しい地形を作り出し、周囲の環境が変わります。このような変化は、長い期間にわたって地球の環境に影響を与えるため、氷河の速度を監視することは非常に重要です。


5. 結論

氷河の速度は、地球の気候や環境の変化を理解する上で重要な情報を提供します。氷河の動きは、単に氷が流れるだけでなく、地形を作り出し、環境を変えていく力を持っています。そのため、氷河の速度を正確に測定する方法は多くの研究で使われており、GPSやレーザー測定などの技術を活用することで、より高精度なデータを得ることができます。

氷河の速度は、地球の環境の変化を予測するための重要な手がかりとなるため、これらの測定技術は今後もさらに発展し、私たちの理解を深めていくことでしょう。

  • この記事を書いた人

鬼読書

初めまして鬼読書 疲弊です。1日1冊ペースだと、ほんの274年で10万冊読破できそうです。たまに気になる世間のニュースについても語ります。

-世界の大疑問, 自然の疑問

error: Content is protected !!